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にゃははっ


by berry-toyonoka
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記憶

まだ携帯がない頃、デートの約束は彼の深夜のスーパーのバイトの休憩時間に公衆電話からかける電話だった。
いつものように、映画館の前で待ち合わせ
「じゃあ、明日ね」
と電話を切る。

そして次の日 珍しく彼は10分ほど遅刻した。
とよのかを見つけると彼は、ほっとしたような泣き笑いの表情を浮かべた。

「遅いよ~あと少しで映画始まっちゃうよ~」
唇をとんがらせ、とよのかは少し拗ねてみる。。記憶_b0010489_230316.jpg
彼は何も答えず、とよのかを引き寄せギュっと抱きしめた。

「?????どしたの??」

「よし、行くか~」

普通の彼に戻る。

映画を見終わった後、喫茶店でコーヒーを飲みながら彼はポツリと話し始める
昨日の深夜、バイトが終わって先輩に車で送ってもらっている途中、交差点で信号を無視して突進してきた車に激突され彼たちの乗った車はスピンして反対車線まで飛び出しガードレールに激突。車は大破。(のちに廃車が決定)
奇跡的に乗っていた二人に怪我はなかったが、車内から出られなくなりレスキュー隊が来たそうだ。

事故にあったとき脳裏に「死」という文字が浮かんだという。
もう一度とよのかに会いたいと思ったそうだ。

とよのかは、それを聞いてビックリした。もしかしたらこの人は昨日の電話を最期にいなくなっていたかもしれない・・・そう思うと背筋がゾッとした。
愛した人がいきなり、この世からいなくなるってどんな気持ちだろう?
そして、とよのかが死を目の前にしてもう一度会いたいと思うのは誰なんだろう?

デートの帰り道、彼のバイクの後ろに乗ってるとよのかは、彼の背中にいつもよりギュッとしがみついた。

遠い日の記憶
by berry-toyonoka | 2005-12-07 23:10 | とよのか