不審者
化粧を落として部屋着に着替えてくつろいでいたらピンポーンと音がする。
とよのか宅はオートロックなのに玄関越しに男女のカップルが立っているではないか!!
あ・・あやしい。
「一人暮らしの不審者に女性殺害される」なんて明日の新聞の記事が脳裏をかすめる。
ここは、居留守を決め込むことにする
が、だらしないとよのかは玄関の廊下の電気をつけっ放し。
当然、外からは灯りがもれているわけでテレビもつけてるので、人がいるのはわかるはず。
慌ててテレビを消し灯りを消し息を潜める(←いまさら遅い)
何回も鳴らすし、しまいにはドアをたたいてきた。
「出てくれないよ。どうする?」
なにやらヒソヒソ男女が話してるのが聞こえる
「すみませーんっ」
あれあれ?ここまで粘るとは・・なんか重要な用事でもあるのかしら?
開けようかと思ったが、もうスッピン部屋着の人様に見せれない格好をしている。
やっぱり出れなーい
数分後あきらめてそのカップルは去っていった。
一体なんの用だったんだろう?それはベランダを眺めてわかった。
青いシーツがピローンとベランダの柵にかかっている。
ああ・・・コレね
あのカップルたちはこのシーツをもらいに来てたのね
ううっゴメン 居留守つかって
早速返しに行かなきゃと思ったが・・・このシーツどこから飛んできたの?
?隣?上?
見当つきません。
明日は休日思いっきり朝寝坊したいのに、
あのカップルが再びやってきてピンポーンとやってくるなら寝ぼけ姿を見せる羽目になる。
居留守使って悪印象なのよね~。変に覚えられたら嫌だし
そこで思いついたのは玄関の外に
ショッピング袋の中にそのシーツを入れてかけておいた。
案の定お昼過ぎ、買物に出たときにはその袋はなくなっていたので、
あの青いシーツは持ち主の手に無事帰っていったんだろう。
かなりシーツを落とした住人には冷たい仕打ちなのかもしれないが、
お互い顔を知らない方がここでは、楽に暮らせるのかもしれない。
そんな都会の人間関係の希薄さが自分にも染み込んできたんだと感じた出来事でした。